あいち相続あんしんセンターの解決事例
知らなきゃ損する!相続法40年ぶりの大改正! 押さえるべきポイント その1「預貯金の仮払制度」
calendar_month 2018年11月05日
平成31年7月12日から、預貯金の仮払制度が始まります。
この仮払制度は、来年7月12日以降であれば、7月12日以前に発生した相続にも利用できます。
以下に、預貯金仮払制度の概要を説明します。
現在の制度では、複数の相続人が共同相続した預貯金の取扱いについて、最高裁は近年判例を変更し、遺産分割の対象となると判断しました。
そのため、遺産分割前の個々の相続人への払戻しは、相続人全員の同意がない限り認めらず、預貯金は凍結されます。
実務上、相続債務の弁済や相続人の生活費、葬儀費用などの緊急の払戻し需要に応じるための、いわゆる「便宜払い」が困難になったため、そのような需要への法的な手当てが求められていました。
改正法では、共同相続された預貯金の遺産分割前の払戻しを認める制度として、
- 裁判所外での相続人単独での払戻しを認める方法と
- 家庭裁判所の手続き(保全処分)を利用する方法の2つが創設されました。
①の方法は、相続人が金融機関の窓口で直接払戻しを求める方法である。仮払いの必要性も要求されず、裁判手続きも不要なため②に比べて簡便です。但し、仮払いの金額に上限が設けられており、具体的には、
「相続開始時の預貯金の額×3分の1×(仮払いを求める相続人の)法定相続分」 かつ
「金融機関ごと(複数の口座がある場合は合算)に法務省令で定める額」 が上限となります。
「法務省令で定める額」は現時点では明らかではないですが、100 万円台で定められるのではないかと思われます。なお、仮払いされた預貯金は、その相続人が遺産分割(一部分割)により取得したものとみなされます。(遺産分割の際に具体的相続分から引かれる)
②の方法は、家庭裁判所に遺産分割の審判または調停を申し立てたうえで、預貯金の仮払いの申立てをする必要があり、①と比較するとコストや時間がかかるというデメリットがあります。
また、相続債務の弁済のためなど、仮払いの必要性があることの疎明が必要になる。
他方で、仮払いの金額に上限は設けられておらず、申立て額の範囲内で裁判所が必要と判断すれば、特定の預貯金債権の全部を取得することもできるため、①の上限を超える金額の払戻しが必要な場合に適していると言えます。
利用方法としては、葬儀費用など特に緊急性が高い費用については時間のかからない①の方法で払戻しを受け、
緊急性がそこまで高くない相続人の生活費用については金額に上限がない②の方法で払戻しを受ける、といった使い分けが考えられます。
凍結された預貯金などでお困りの場合は、お気軽に無料相談してください。