あいち相続あんしんセンターの解決事例
離婚に伴う財産分与
calendar_month 2018年04月02日
概要
安城太郎さんは、安城花子さんと5年前に離婚し、花子さんは二人で資金を出し合って購入した家から出ていきました。太郎さんは、引き続き住んでいるその家に花子さんの名義が残っていることをふと思い出し、自分ひとりの名義にしたいと考えました。
花子さんに連絡を取ったところ、名義変更につき承諾を得られましたが、具体的な手続きとして何をすればよいのでしょうか。
財産分与
離婚に伴う夫婦の共有財産の清算については、「財産分与」として民法に請求権が定められています。
民法第768条
- 協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。
- 前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、離婚の時から二年を経過したときは、この限りでない。
- 前項の場合には、家庭裁判所は、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める。
太郎さんと花子さんの間で財産分与の協議が調った後は、その結果を書面にして、不動産については登記申請の手続きを行います。なお、上記条文の通り、離婚から二年を過ぎていても、当事者間の協議が調えば財産分与は可能です。
税金に注意
財産分与の名義変更自体は、お互いの協力さえあれば容易にできますが、はじめに以下の税金を考慮してから手続きに移る必要があります。
- 登録免許税
…不動産の登記申請の際に納付。税額は、固定資産税評価額の1000分の20- 譲渡所得税
・・・不動産の譲渡者に課税される。居住用財産の売却にかかる3000万円控除等、特例が適用される場合有。
- 譲渡所得税
- 不動産取得税
・・・不動産の取得者に課税される。住宅については特例控除が適用される場合有。 - 譲渡所得税
財産分与を原因として不動産を譲渡した場合、「不動産を渡した側」、つまり今回の事案では花子さんに譲渡所得税が課税されることになっています。渡した側に所得税がかかるというのは理解しにくいところですが、不動産を譲渡することにより、財産を分与する義務が消滅することを経済的利益としてとらえるようです。
また、譲渡所得税にかかる居住用財産の特例については「住まなくなった日から3年目の年の12月31日までに売る(財産分与する)こと」が要件として定められていますので、5年前に家を出た花子さんには特例の適用はありません。ただ、財産の取得費が譲渡額(現在の時価)より大きければ譲渡損となり、課税されることはありません。この判断は個人では難しいため、税理士に試算を依頼することをお勧めします。
まとめ
財産分与は、単純な財産の名義変更というだけではなく、税金面を考慮して手続きに移る必要があります。あいち司法行政&相続では、税金の試算に必要な税理士のご紹介や、名義変更後に不動産の売却を検討されているお客様には不動産業者のご紹介も行っておりますので、弊事務所を窓口としてお気軽にお問い合わせください。