遺言書と遺留分
事例
三河太郎さんが亡くなりました。
法定相続人は妻である花子さん、子供である一郎さんと二郎さんです。
遺品整理をしていたところ遺言書が出てきました。内容は「すべての財産は安城梅子に遺贈する」というものでした。安城梅子さんというのは、生前に太郎さんと仲の良い関係だったようです。
この遺言書のとおり、すべての財産を梅子さんに渡さなくてはならないのでしょうか?
花子さんは、住む場所もなくなってしまうと憔悴しています。
回答
たしかに、遺言書というのは故人の最後の意思表示になり尊重されるべきですが、今回の事例の法定相続人には「遺留分」という権利があります。相続が相続人の生活保障の意義を有する点、また被相続人名義の財産には相続人の潜在的持分が含まれていることが多く、これを顕在化させる必要がある点から認められている権利です。
今回の事例では、遺留分という権利を主張して全体の財産の2分の1は、法定相続人である花子さん、一郎さん、二郎さんが取得することができます。
この記事を担当した司法書士

司法書士 あいち司法&相続 行政書士法人 あいち行政&相続
司法書士・行政書士
今井 裕司
保有資格司法書士・行政書士
専門分野相続対策コンサルティング・遺言・贈与・成年後見・不動産
経歴平成8年 大学卒業後、司法書士・行政書士・土地家屋調査士合同事務所に5年間勤務。相続を中心に、登記、測量、農地転用など、幅広く実務修行。 平成13年 司法書士試験合格 平成14年 事務所を開業。 その後、相続関連業務を中心に業務を拡大し、相続対策に関する特集で取材を受けるなど、相続分野で今最も注目を集める士業資格者の一人である。 遺言・贈与に留まらず、税理士と提携した相続税対策や保険会社様との提携した提案など幅を広げ、相続に関する顧客の課題をワンストップにて解決している。また最近では家族信託にも積極的に取り組み、認知症対策や複雑な相続対策の新しい形を作り上げている。