死因贈与契約とは
死因贈与契約の定義
死因贈与契約とは、贈与者が死亡したときに効力を発生させる贈与契約の一種です。この契約は、贈与者の死亡を条件としているため、遺贈に似ていますが、遺言書とは異なります。受贈者の同意が必要であり、契約が成立した時点で権利と義務が発生します。
具体的には、贈与者と受贈者(贈与を受ける人)との合意です。受贈者は、当然ながら贈与者の考えを知り、それを踏まえて合意していることになります。
ですから、贈与者の死後になって、放棄することはできません。ということは、贈与者の意思が確実に実現できるということです。
負担付とは、贈与者が生前の受贈者に一定の義務付けをすることです。贈与者は死ぬ前に受贈者に義務(負担)を履行させ、負担と利益を受けることができます。
例えば、下記のようなといった点が、負担として考えられます。
“今後の身の回りの世話を続けて欲しい”
“同居して面倒を見て欲しい”
死因贈与契約の基本的な流れ
死因贈与契約は、贈与者と受贈者が契約を結び、贈与者の死亡時に効力を発揮します。このため、契約書を作成し、公正証書にすることで、法的に確実なものとすることが推奨されます。
負担付死因贈与契約の概要
負担付死因贈与の仕組み
負担付死因贈与契約とは、贈与者が受贈者に特定の義務を課す形の契約です。例えば、「日常の介護を続けること」や「同居して生活の世話をすること」といった義務が含まれます。これにより、贈与者は自身の望むケアを受けつつ、財産の譲渡を行うことができます。
負担付死因贈与の具体例
贈与者が日常の世話を必要とする場合、受贈者に対して「今後も世話を続けること」を条件に不動産を贈与するケースがあります。贈与者の死後に、受贈者がこの条件を履行することで、相続税の控除が適用されることがあります。
死因贈与契約の具体的事例
事例の背景
安城太郎さんは、平成29年1月に亡くなりました。相続人は妻の良子さんと二人の息子です。太郎さんは安城市内に自宅を所有していました。
事例の内容
太郎さんの死後、良子さんは施設に入所し、自宅は空き家となりました。この状態で自宅を売却すると、3000万円の控除が適用されず、約570万円の譲渡所得税がかかる可能性がありました。
事例の結果
遺産分割協議を行い、不動産を良子さんが相続することで、居住用不動産の特例を適用しました。遺産分割の効力は相続開始時に遡るため、良子さんが相続した時点で居住用不動産とみなされ、譲渡所得税を回避できました。
死因贈与契約のメリットとデメリット
死因贈与契約のメリット
相続税対策としての有効性
死因贈与契約は、相続税の節税対策として有効です。特に、不動産などの大きな資産を持つ場合、贈与者の死亡後に効力を発揮するため、相続税の負担を軽減することができます。
贈与者の意思を確実に実現
贈与者の意思を確実に実現するために、受贈者との合意が必要です。これにより、贈与者の意向が確実に反映され、相続トラブルを避けることができます。
死因贈与契約のデメリット
相続人との対立
死因贈与契約は、相続人との間で利害が対立することがあります。特に、受贈者が相続人以外の場合、相続人との間で紛争が生じる可能性があります。
契約の取り消しが難しい場合
負担付死因贈与契約の場合、受贈者が負担を履行した場合には契約の取り消しが難しくなります。ただし、特段の事情がある場合には取り消しが可能です。
公正証書による死因贈与契約の確実性
公正証書の重要性
公正証書を作成することで、死因贈与契約の効力を確実にし、相続人との紛争を避けることができます。公正証書は公証人が作成するため、法的に確実な証拠となります。
公正証書を作成する手続き
公正証書を作成するためには、公証役場に出向き、必要な書類を提出します。公証人との打ち合わせを通じて、契約内容を確認し、公正証書として正式に作成します。
死因贈与契約の取り消しと注意点
取り消しの条件
死因贈与契約は、負担が履行されなかった場合や特段の事情がある場合に限り取り消しが可能です。取り消しの手続きは法律に従って行われます。
負担が履行されなかった場合の対応
負担付死因贈与契約において、受贈者が負担を履行しなかった場合、遺贈の取消規定を準用して契約を取り消すことができます。
専門家に相談する重要性とその方法
専門家に相談するメリット
死因贈与契約は法的な知識が必要なため、専門家に相談することで安心して手続きを進めることができます。弊所におきましても契約の作成に関する相談は初回無料で行っております。
信頼できる専門家の選び方
信頼できる専門家を選ぶためには、実績や専門性、口コミなどを参考にすることが重要です。信頼できる専門家と連携することで、安心して相続手続きを進めることができます。