あいち相続あんしんセンターの解決事例
遺産分割と譲渡所得税
calendar_month 2018年04月02日
1.事例
平成29年1月11日安城太郎さんは、お亡くなりになりました。
相続人は、妻の安城良子さん、長男安城一郎さん、二男の安城二郎さんの3人でした。
安城太郎さんは、安城市内にマイホームの土地建物を所有しており、子供たちは実家を離れ、妻と二人暮らしをしていました。
妻の安城良子さんは、夫を亡くした事で気力が落ち、平成29年2月1日から施設に入所するようになりました。
実家は空き家となったため、子供達と相談し、平成29年4月1日に、実家を3000万円で売却しました。
2.検討すべき課題
通常、不動産を売却すると、譲渡益の20%程度の譲渡所得税がかかります。
ただ、居住用不動産を売却した場合は、3000万円まで控除が効くので、譲渡所得税がかからない事になります。
今回のケースで問題となったのは、「居住用不動産にあたるか」です。
もともとマイホームは亡くなった安城太郎さんの名義で、太郎さんは亡くなっているため居住していません。
妻の良子さんも、施設に入所していますので居住していませんし、子供たちも居住していません。
そうなると3000万控除が使えず、約570万の譲渡所得税がかかる事になります。
しかし、遺産分割のやり方によっては譲渡所得税がかからないケースがあるのです。
3.解決方法
今回の場合、遺産分割協議を平成29年3月1日に行い、不動産を妻良子さんが相続したとします。
ここでのポイントは、法律上、遺産分割の効力は、相続発生時にさかのぼる事になっている事です。
民法第909条 遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。
平成29年3月1日に、相続人全員が遺産分割協議書に押印したとしても、その効力は、安城太郎さんが死亡した平成29年1月11日にさかのぼり、平成29年1月11日から安城良子さんが、不動産を所有していた事になります。
そして、安城良子さんは、平成29年3月1日までは、この不動産に居住していたため、居住用の不動産となります。
よって、3000万控除が適用され、不動産取得税がかからないという事になります。
遺産分割の内容次第で、約570万円近くの税金の違いが出てきます。
相続は、その手順により受取額に大きな違いができくるので、慎重に検討する必要があります。
※あくまで一般的なモデルケースとして設定しておりますので、個々の事案については、税理士にきちんと ご相談されることをお勧め致します。ご希望の方には、信頼できる税理士さんをご紹介いたします。